ANAのトラブル対応

 8月12日の早朝に羽田空港のANAの国内線で、乗客から預かった荷物を搭載しないで出発するトラブルがありました。ニュース記事

 原因はベルトコンベアの故障だったようです。

 出発しないで飛行機を待機させることや後続便への影響を避けるために、荷物を全部あるいは一部を載せずに乗客だけ乗せて運んだそうです。

 運航約款には反していないそうですが、問題は、出発前に乗客に知らせずに、到着後に荷物が搭載されていないことを乗客に知らせた点です。

 出発前に知らせると、降りたいという客がいて混乱するという判断だったそうです。

 

 シビアな状況での瞬間的な現場の判断を後から批評するのはたやすいので、安易な批判は慎重になるべきです。

 しかし、搭乗してしまって降りるには困難な段階であっても、トラブルの情報は早めに報告するのが乗客への誠意ある対応であったかと思いますし、トラブルを知らされた乗客の感情も目的地に降りてから知らされるのとは違っていたのではないかと思います。荷物が搭載されずに遅れてしまうとしても、目的地に着いてしまってどうしようもない状況に置かれてから報告されるのでは、信頼を裏切られた気持ちが非常に強くなったのではないかと想像します。

 

 悪いニュースは早めに知らせるのがトラブルや悪感情を小さくする基本だと考えます。

 

 

 

 【H28.3.1に札幌に移りました。】

〒060-0003 札幌市中央区北3西7 1-1 SAKURA-N3

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弁護士 林 朋寛

(札幌弁護士会所属)

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”簡易裁判”という裁判があるわけではないです

 FacebookなどのSNSでトラブルに巻き込まれたなどという投稿をお見かけすることがあります。

 その中で、”簡易裁判”がいいのかなどといったことをいう方がいます。

 

 しかしながら、「簡易裁判」はあっても、「簡易裁判」というものがあるわけではないです。なんとなく簡単に終わる裁判というイメージを持っているのかもしれません。

 

 通常の民事訴訟についていえば、簡易裁判所は、目的物が140万円以下の訴訟を扱います。140万円を超えるものは地方裁判所の管轄です。

 また、簡易裁判所の民事訴訟のうちで、60万円以下の金銭請求の訴訟について「少額訴訟」を選択して提訴することができます。すぐに取り調べのできる証拠書類や証人のいる事案で、原則1回の期日で終わる手続です。裁判官の判断や相手方の異議によって通常訴訟になる場合があります。

 過失割合や損害額などで争いがありそうな損害賠償請求の事案では少額訴訟は向かないと思います。

 

 どういった手続が取れるのかなどは、弁護士に直接相談するのがいいと思います。

 SNSだと知ったかぶりして適当なアドバイスをする人や、弁護士は高いなどと言って早期の相談をためらわせる人、ひどいのになると違法な方法での対応を示唆する人などがいます。

 

 ほんとうに解決策を探しているのであれば、SNSで投稿などせずに、近くの弁護士(法律事務所)や弁護士会の法律相談センターを検索して相談の予約を入れるべきです。

 

 

 

『あたらしい憲法草案のはなし』と『憲法主義」

 参議院選挙の投票前にはあまり争点にされなかった憲法改正の動きが進むかもしれない状況です。

 自民党の憲法改正草案について解説した本はいろいろ出ていますが、自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合(自爆連)の『あたらしい憲法草案のはなし』は、日本国憲法公布の翌年に文部省が製作・配布した『あたらしい憲法のはなし』の秀逸なパロディーです。

 このあたらしい憲法草案のはなし』は、自民党の憲法草案が、立憲主義(憲法により国家権力を制限して個人の自由・権利を保障しようという考え)を否定しようという意図が透けて、おかしさとともに恐ろしさを感じる名著だと思います。

 立憲主義や個人の自由・権利を憎んで、それらを否定する国にするのは国民の自由かもしれませんが、そのような国は、近隣にある一党独裁の国や祖父の代からの独裁をしている国みたいな国です。わが国が近隣にあるような独裁国家になってから後悔しても後の祭りでしょう。

 

 あたらしい憲法草案のはなし』を憲法の仕組みについてあまり知らずに読むと、皮肉をそのまま受け取ってしまうおそれがあります。

 憲法の仕組みについて、とても分かりやすく説明しているのが、内山奈月・南野森『憲法主義』です。ソフトカバー本が文庫本化していますし、読みやすいので、憲法改正の前に、多くの主権者国民に読んでもらいたい本です。憲法主義は、あたらしい憲法草案のはなし前に読んでおくべき本だと思います。

 

 

 


芸能界にも法の光を

 ネットのニュースで

能年玲奈 岩手県庁を訪問、改名後初仕事か 達増知事「お帰り」と大歓迎

 というのがありました。

 本名が能年玲奈さんが芸名を変えて「のん」さんとして活動せざるを得ないような状況については、色々と批判も聞くところです。能年玲奈さんが所属していた(あるいは所属している)芸能事務所とどのような契約あるいは交渉がもたれているのか・いないのかについては部外者には分からないことが多いです。しかし、本名で活動ができないというのは一般常識でも法的な観点でもおかしいと思うのが自然でしょう。

 能年さんが今後どのようにご活躍されるのか注目していきたいです。このニュースのように地方での活動も良い道かと思います。北海道でも活躍の場があればいいと思います。

 

 ところで、日本弁護士連合会(日弁連)のポスターは、今年は武井咲さんと起用しているのですが、1年契約のようです。

 来年は、能年さんが起用されてもいいのではないかと思います。

 

 

 日本の芸能界は、まだ契約がきちんと締結されていなかったり、契約書が作成されていなかったり、作成されていても問題のあるものだったりするようです。

 一般論として、所属の芸能人が売れるまでにコストが掛かるので、売れてから容易に独立等されるのは困るといった芸能事務所の側の言い分も分かります。

 ただ、一の大きな産業分野でもある芸能界がある種の”無法状態”では、人権の面でも経済的な発展の点でも問題だと思います。

 我が国の芸能界・エンターテインメントの世界にも、法的にバランスの取れた実務が広がるべきだと思います。

 

 

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芸能人のプライバシー権侵害について

 取材協力した記事が公開されました。

中森明菜さん「隠し撮り写真」掲載の出版社敗訴、芸能人プライバシー侵害の基準は?

 

 この記事の最後のところで、

もし仮に、他人のプライバシー権を侵害した賠償責任を上回る利益が見込まれるのであれば、報道機関の中に違法と認識しつつも、撮影・掲載を強行するところもあるでしょう。

 

 強行されるのは、侵害者の見込み利益を下回る金額でしか慰謝料が算定されないからです。そのような裁判所の算定が、そもそもおかしいのではないか」

 と述べています。

 

 これは、損害賠償責任を負っても雑誌が売れて儲かるのであれば民事的に違法な行為を出版社側は強行するおそれがあるということです。

 

 週刊誌1冊ごとに単純な計算は正確ではないでしょうが、説明のために言うと、

違法な行為でネタを集めて書いた記事を載せた週刊誌が通常よりも売れて、週刊誌の販売の売上や広告費などで通常より1000万円の利益が出るのであれば、

その違法行為で550万円の損害賠償責任を負っても、

結果として差し引きプラスの儲け(450万円)が出るなら、

違法行為を民事責任として(つまり経済的に)抑制することは難しいということです。

 

 

 日本の現在の不法行為責任の裁判所の考えでは制裁的損害賠償は認められていないですし、精神的苦痛の慰謝料請求の評価も抑制的です。

 制裁的損害賠償(実際の損害額の賠償責任に限らず、制裁として損害賠償の数倍の賠償責任を認めるというようなもの)は難しいとしても、

慰謝料の評価としては被害者にとって納得でき、以後の類似の違法な行為を抑制できる金額を認めるのはおかしくないでしょう。

 慰謝料というのは、被害者の被った精神的苦痛を慰謝する(なぐさめる)に足りる金銭ということですから、加害者に儲けが残るような金額で慰謝料として相当な金額だと評価するのは少ないと思うのです。

 

 

 弁護士としては依頼者への負担(印紙代や弁護士費用)を考えて、裁判所の相場を勘案して慰謝料請求の金額を控えめに評価しがちかもしれません。

 しかし、そういう実務感覚が一般の感覚(常識)に合うかどうかを常に留意して損害賠償事案を扱っていきたいと思います。

 

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戦争放棄条項が入った経緯・理由

日本国憲法 9条に込められた魂』(鉄筆文庫・2016年)540円

 この文庫は、我が国の憲法全文を載せて、付録として次の資料を掲載しています。

付録1 年表

付録2 ポツダム宣言

付録3 非核三原則

付録4 武器輸出三原則等

付録5 幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について

 

 付録となっていますけど、この本のメインは、

付録5 幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について

でしょう。

 この幣原先生というのは、幣原喜重郎のことで、敗戦後の昭和20年10月6日に昭和天皇の命で首相に就いて、現憲法の制定に携わった人物です。

 幣原から昭和26年に聞き取りしたメモに基づきまとめられ、昭和39年に公開されたものです。

 

 これを読むと、”押し付け憲法論”が実に浅薄な主張であると感じざるをえません。

 戦争放棄条項については、幣原ひとりの結果ではないでしょうが、歴史(過去)と未来を見据えつつ、現在(当時)の情勢をリアルに分析して、高い理想のもとで戦争放棄条項がまとめられたことが分かります。戦争放棄条項のある意味裏返しとして天皇制が守られて我が国の連続性が保たれたのでしょう。

 

 こんにち、憲法改正をウンヌンする前に読まれるべき資料だと思います(短いのですぐ読めます。)。

 

 

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大渕愛子弁護士の懲戒処分

 日本テレビ(北海道だとSTV)の行列ができる法律相談所に出演している大渕愛子弁護士が、所属の東京弁護士会から業務停止1月の懲戒処分を受けたとのニュースがありました。

 大渕弁護士は、処分後に会見を開いています

 会見を開いて説明しようとしたところ、逃げなかったところについては、ある意味ご立派だと思います。

 危機管理としても、逃げてしまうより会見をやった方がその後のバッシングも小さくなると判断したのだと思います。

 

 大渕弁護士の問題については、「大渕弁護士の言い分の謎と、弁護士に望むこと、私たちはどうすればいいのかについて。」(千田有紀)という論評がまとめてくれています。

 

 今回の大渕弁護士の懲戒対象となった行為について報道を見る限り正当な弁解はできなさそうですし、弁護士としてはかなり重い処分である業務停止になったことの軽重については報道では論評し難いです。

 大渕弁護士のことは置くとして、上記論評にもリンク先がありますが、大渕弁護士を使い続けてきた日本テレビをはじめ他のテレビ局の社会的な責任はどうなのかというのがもっと問われていいと思います。

 大渕弁護士の懲戒について日本テレビ等はどういうコメントをしているのか寡聞にして分かりません。

 弁護士会が懲戒する場合は、懲戒処分を決める懲戒委員会の前に、懲戒委員会に審査するのが相当かどうかを綱紀委員会が調査します。綱紀委員会が懲戒委員会に審査を求めた後もテレビ出演させていたテレビ局の判断はどういう理由からだったのでしょうか。追及されるべきところだと思います。

 

[大渕愛子弁護士のオオブチ大淵ではなく大渕でしたので修正しました。]

 

 

 

 ところで、私は、日本司法支援センター(自称法テラス)を全く支持も信用もしていませんので、発足した平成18年から一度も同センターと契約をしたことがありません。

 民事扶助にしろ刑事事件の国選弁護にしろ、同センターの手続や低額な報酬額などについての同業者の不満はしばしば目にします。

 同センターと契約している弁護士の不満は、もともと自分で契約している弁護士のまずは問題でしょう。

 しかし、利用者に対しても同センターの対応に問題がないかという点は気に掛かります。

 当事務所では、自称法テラスやその関係の弁護士・司法書士についての問題についてご相談をお受けします(当事務所の無料相談の対象でなければ有料相談となります。)。

 

 

 

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妻夫木夫妻で思い出した映画

 それぞれ俳優の妻夫木聡さんとマイコさんが結婚されたニュースがありました。

 妻夫木さんってまだ独身だったんですね。

 

 妻のマイコさんで思い出したのが、出演されていた映画『カフーを待ちわびて』です。

 私が沖縄で開く事務所の名称をカフー法律事務所としたので、レンタルして観たんですが、ほっこりする作品だった印象です。ちなみにカフーとは、漢字で「果報」で、カフーと沖縄読みしているものです。

 久々にまた観たく思いました。

 

 原作の小説も味わい良かったと思います。原作は確か、ラストは読者の想像任せだった記憶です。

 観たことない方は、原作→映画の方がいいかもしれません。

 

 

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シン・ゴジラ

 JRタワーの札幌シネマフロンティアシン・ゴジラを観てきました。

 

 巨大不明生物の襲来にも憲法下の法制による柔軟な対応で対処できていましたので、憲法改正・緊急事態条項は不要だと感じました(笑)。

 それはさておき、ゴジラやゴジラに対する戦いの迫力を堪能するには大きなスクリーンで観るべきでしょう。

 私は2時間前後も同じ椅子に座ったままでいたくないので、時々しか映画館に行かないのですが、今回のシン・ゴジラは公開後にツイッターの反応がすごいので早速行ってきました。

 今のところ動員1位のようですが、札幌の映画館はそれほど混んでいませんでした。

 

 怪獣のゴジラは出ますし、特撮映画として楽しめます。ただ、政治劇でもあり、細部までリアルな官僚機構や自衛隊の対応など、現実的な部分も見所満載です。

 甚大な被害を被った日本の復興についても強いメッセージを感じる映画でもあります。

 

 ネットなどでネタバレの情報に接する前に観に行かれるべき映画です。

 

 私はエヴァンゲリオンが大ブームの時に大学生だった世代なので、さすが庵野監督作品と感じ入りました。