今年1月に、法律センター経由の受任の上納金というブログ記事をアップしました。
この中で述べたように、札幌弁護士会の法律相談センターでの相談を経た受任の場合は、
弁護士費用(着手金・報酬金)の一部を事務手数料として、受任した弁護士が弁護士会に納付しなければならないとされています。
平成29年4月以降は、5万円(税別)を超える金額を依頼者から受領した場合は、その税込み金額の15%を納付しなければならないとされています。
つまり、法律相談センターで相談担当なった弁護士にその相談から引き続いて依頼をした場合、たとえば30万円(税別)の着手金だと、税込み額32万4000円の15%の4万8600円をその弁護士は弁護士会に納付することになります。そうなると、その弁護士が実質的に着手金として得るのは、27万5400円となります。
法律相談センター経由の事件でもその他の事件でも、依頼者に提示する弁護士費用が同じようにしている弁護士の場合は、法律相談センター経由の事件は他の事件より実質的に安い弁護士費用で受任していることになります。安い弁護士費用だから他の事件に比べて手を抜くかどうかはその弁護士次第でしょう。ただ、そういう状況になっていることは、法律相談センター経由の依頼者には知られていないでしょう。
また、実質的に安い弁護士費用で受任すること弁護士が避けるには、通常の弁護士費用の見積よりも高めの見積を提示することになるでしょう。つまり、法律相談センター経由の依頼者は、そうでない依頼者よりも高めの弁護士費用を提示されているかもしれないのです。
このことについても、法律相談センター経由の依頼者には弁護士は教えないでしょう。
私は、今年度から法律相談センターに登録して少しながら相談担当の機会があります。
当事務所は、法律相談センター経由、つまり、弁護士会に事務手数料名目で上納しなければならない場合の依頼者については、通常の見積額より20%増額した弁護士費用で提示させていただきます。
なぜ、こんなおかしなことになったのか、導入の際の議論は知りません(札幌に帰ってくる前のことです。)。
おそらく次のような流れで、相談センターの維持を目的とした歪な状況になったのでしょう。
弁護士会の法律相談センターの相談件数が全国的に減少する中で、札幌弁護士会は相談料の完全無料を実施して、相談件数の維持を図ろうとしています。そのため、相談が入るごとに相談料から事務手数料を相談センター維持のために徴収できなくなったのでしょう。また、弁護士会が出張相談や弁護士会館以外の相談センターを維持するのも費用がかかります。
そこで、法律相談センターの事業を維持継続するため、無料相談をうたった相談センターを利用して弁護士に依頼することになった一般市民と受任することになった弁護士に事務手数料の負担をさせることにしたのではないかと推測します。
そもそも論ですが、弁護士の広告がある程度自由化されて一般に情報提供もされ、過剰に弁護士が増員されたと言われる現在では、むかしのように弁護士会で相談センターのような窓口を設ける必要は無くなったでしょう。
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北海道コンテンツ法律事務所
弁護士 林 朋寛
(札幌弁護士会所属)
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