林のコメントした記事が先月下旬に公開されています。
文科省元幹部「天下り」早稲田大にあっせん…省庁側、再就職した本人の法的責任は?
この中で、「天下り」そのもの、つまり退職した公務員が退職前の役所に関係していた外郭団体や企業に再就職すること自体は、禁止されていないという指摘をしました。
天下りそのものが禁止されていないのは、退職した公務員に職業選択の自由(憲法22条1項)があるから、とか、公務員も退職後の生計を立てる必要があるからといった理由が一般に言われます。上記の記事でもそのようにコメントをしています。また、就職を受け入れる側にも誰を採用するかを決める自由があります。
しかし、職業選択の自由があることから天下りを禁止できないというのは、早計ではないかと思います。
特定のあるいは一定範囲の団体や企業への就職を規制することは、職業選択の自由を侵害しないのではないかと思います。つまり、補助金を受けているとか許認可の対象だったとかの一定範囲の団体や企業で、職員や役員に就くことを規制されたとしても、他の企業団体で、職員でも役員でも就くことは許されるからです。
また、職業選択の自由の侵害だと言っても、この自由は、社会的相互関連性が大きいから精神的自由に比べて規制されても合憲となる範囲は広いと考えられています。
公務の公正や中立性の保持や無駄な事業団体の発生防止といった必要性から、合理的で明確な基準をもって天下り自体を禁止することも合憲とするのは可能ではないかと思います。
退職後の生計でいえば、公務員に限らず、定年退職後の再就職の必要はあるのであるし、天下りをしないと生計が立てられないわけではないのですから、生計を理由として天下りを許容するのは適切な理由付けではないと思います。
または、逆に、天下りは許容するとして、天下りを受け入れた所には天下り後の一定期間は補助金等を一切支給しないとする方法もあるのではないかと思います。
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弁護士 林 朋寛
(札幌弁護士会所属)
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